第XX星歴__
増え続けたおしゃれ装備によって、「非オシャレ」「ネタ装備」が忌避された暗黒時代。
「サブリガ」「ブルマ」「スク水」、数多くのハイセンス装備使用者たちはオサレポリス……通称「OSP」によって削除され、その殆どが亡きものとなっていた。
星6月13日__OSP特殊捜査官である私「Y」は相棒とともに、近隣住民からの通報でゴブレットビュートにいるというS型不法衣服着用者の隠れ家へと踏み込んでいた。
「OSPだ! 不法衣服着用違反で家宅捜索に来た。現行犯としてそのまま削除してやる」
ペンギンはともかくS型衣服着用者はそのまま削除する事が義務付けられている。
削除、削除、削除。
あの服をつける者は皆そう言うが、残念ながら服装に自由などない。それはオサレじゃないのだから許す必要などないに決まっている。
不法衣服着用者は削除しなくてはいけない。
私(Y)は手にした銃のトリガーへと指をかけ、そのままそれを押し込んだ。
部屋に響く銃声。
その場にいるのはペットの鳥、そして我々捜査官だけとなった。
S型衣服のことを言っているのだろうか。
聞き覚えがある気がするがわからない……
いや、あれは不法衣服だ。それ以外の何物でもない……。
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いやだめだ、わからない。
何か引っかかるが、それが何なのか出てこないのだ。
『思い出せ……』
ふと背後から声がした。
だが振り返ってもそこには誰もいない。
『思い出せ……思い出せ……思い出せ』
近いような遠いような、どこからともなく声がする。
声のする方へと駆け出した私。
走って向かったその先にあったのは、あろうことか捜査官用に用意された私自身の部屋であった。
だが違う。
ここにはないはずのものがあったのだ。
S型不法衣服……!? それが何故ここに?
着たことは勿論のこと、所持すらしたことない。
存在しないはずの衣服だ。
どうなっているのか分からず私は思わずそれに触れてしまう。
頭が痛む。どうなっているんだ……混乱をさらに助長するかの様に、頭へまた声がしてくる。
『思い出せ……思い出せ……思い出せ』
鳴り止まない。何なんだこれは何を思い出せと言うんだ……!
『思い出せ!!』
目の前には自分と瓜二つな男がS型不法衣服を着て立っていたのだ。
私なのか……?
『思い出せ自分を……!』
「私はYだ! OSP捜査官のYなんだ!」
『いや違う! お前はヤタ……』
振り返るとそこには私の相棒Mがいた。
そして部屋を再び見渡すもそこには、私に似た男もS型不法衣服も何も残されてはいなかった。
そう言われた私は彼女を見送ると、そのまま死んだ様に眠りにつくのだった。
『思い出せ』
部屋へと着く前から熱狂的な叫び声が聞こえる。
ここがMの言っていたファッションショーの会場で間違いないのだろう。
全員削除執行対象だ。
「やるぞY」
そう言われた私は慣れた手つきで銃を引き抜く。
さっさと終わらせよう。
『思い出せ……!』
またあれが聞こえてきた。
『ヤタゴメ拳!!』
不法衣服着用者たちを眺めていたら、あの声が鳴り止まなくなった。
痛い。頭が割れる。
「おいどうしたんだY。聞いているのか? 」
Rはそのまま削除を執行しようとしている。
早く彼らをやってくれ……この声を止めてくれ……いや、だめだ。殺させちゃならない。
分からないが彼らは守らなくては行けないと無性にそう思ってしまう。
何だって言うんだ……
口馴染みを感じるその言葉と共に気がつけば私はRを殴っていた。
周りにいた人々もこちらをみてくる。
「Y狂ったのか!?」
頬を抑えるRはそう言うと多勢に無勢と思ったのかそそくさと外へ逃げ出していった。
後に残されたのは、私とファッションショーをしていた彼らだけだ。
「ヤタゴメ」
地に伏した捜査官を見下ろしながらヤタゴメは言う。
「生きていたんですね」
「どうしたんだ服なんか着て?」
サブリガだ。
「ヤタゴメSUN……!」
『思い出せ』
あぁ、そうか私は忘れていたんだ。
私はそうYじゃない……私はヤタゴメだ。
そして、こんな服は違う。私の服は。
「おめでとー」
「おめでと」
「おめでとう」
「おめでとう……!」
「おめでとッ」
「おめでとーう」
「めでたいなぁ」
一斉に襲い掛かる捜査官達。
「おめでとさん」
「クク、クワァクワァ」
次々と仲間たちやペンギンが本当の自分へ戻れたことを祝福してくれる。
これが本当の自分だったんだ……!
「ありがとう!」
もはやこれ以外いう言葉はない。
彼らの自由な服への拘りが私の記憶を呼び覚ましてくれたのだ。
『大人しく出て来い! ここは完全に包囲されている』
外から拡声器を使ったRの声が響いてくる。
「皆さん逃げてください! なぁに此処は私一人で充分ですからね」
そう言いみんなを逃すと私は地上へと向かった。
外に待つ捜査官たちの元へと。
そして舞う様に拳を、そして脚を振るうヤタゴメ。
誰しもが達人と言える様なそれぞれの武器に熟達した者であったがしかし、戦う前からその勝敗は決まっている様なものだった。
「フリーダァム!!」
窮屈な服に縛られていないヤタゴメの前では、捜査官達はなすすべなどなかったのだ。
「自由に生きなさい。他人の目を気にして生きるのは苦しいでしょう?」
そう言葉を残したヤタゴメは最後に待つ者の元へと進んでいった。
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不法衣服着用者を収監する監獄がおかれたミストヴィレッジ。
その浜辺に彼女はいた。
こちらに気がつくとそのまま銃に手をかけ振り向いた。
物騒な言葉だ。清楚じゃないからと捜査官には禁じられている言葉だが、それだけMも怒っているのだろう。
「これが私の服だ」
「そうか……ちゃんとした服を着ろヤタゴメ。着ないなら殺す」睨み合う。
互いにもうこれ以上の言葉は不要であった。
言葉の代わりに拳と弾丸が交叉する。
勝負は一瞬であった。
服に囚われる方なんてない。
全てがオサレ何だ。
それはネタ装備だ、それは卑猥だ……そう言われても気にすることなんてない。
固定観念はぶっこわせ!
大事なのは好きを貫く心。
それだけです。
はい! というわけで、本題ですが自由を愛するファッションショーイベントが4月2日に開催です。
詳しくはこちらから!
ユーリでした!バイバイ!
FF14ランキング
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暴言コメントが多かったので匿名は閉鎖します!
またGoogleアカウントでも誰かわからない人は削除します!