なんでも1人でこなしてきたボクだったけど、彼と初めて仕事をこなしてからの3年間、自分でも驚くくらいにら欠かす事なく一緒に仕事をやってきた。
たくさんの危機を乗り越えてきた。
いつも1人から、いつも2人。
なんとなくだけどアールといる事に落ち着きを得られたんだと思う。
だから2人であちこちを巡る冒険は楽しかった。
いや正確に言えば違うけれども。
ボクたち2人の間に割って入るヤツがいた。
『はあああああ???ボクがコイツの相棒なんですけどお????お化けがでしゃばらないで貰えますうぅ???』
『アン?俺様ガアールノ相棒ニ決マッテンダロ???アト、オバケジャネエヨ!妖異ダワ!!』
『ガルルルルルルッッ』
今ボクが威嚇しているコイツは、ボクの大相棒であるアールが契約したという異界出身のお化けみたいな存在で、自称妖異らしい。
『お嬢ちゃんも、アヴァターも静かにしろって!敵にバレんだろうが』
『マコトって呼んでって言ってるでしょ!』
『俺様ノコトハ、ベルート様ト呼ベッテ言ッタダロ』
『だからうるせーって!!!』
ちなみに今ボクたちは変わった団体に攫われそうで困っているという娘さんを助けようとしたら、逆にその娘さんが団体側の人間だったみたいで見事に騙されてしまった挙句、彼らが信仰する神様とやらの生贄にされかけたので逃げてるところだ。
絶賛隠れ中。
『あそこにいたぞ!』
やっぱりバレた。
『ふふん、ボクの魅力はやはり隠しきれないね。抑えようとしても溢れて見つかっちゃう』
『うるせーからバレたんだよ!クソ仕方ないな。行くぞマコベル!』
『略すなっ!!』『略スナッ!!』
さて、悔しいけども、アールとお化けのコンビネーションはすごい。
扱いづらい大鎌を絶やすことなく振り回し敵を切り裂くアールと、その連撃の間を縫うかのように鋭い爪で刃から逃れた敵を切り裂くベルート。
そしてアール達が織りなす攻撃で敵の多勢は見る見るうちに減らされて行く。
ボクも最初に見たときはマジのお化けだと思って驚き気を失ったけどもやっぱりすごい。
そして多勢を引き受けてくれている間にボクは敵の中の強い個を叩く。
相対するは、敵の召喚した一つ目の妖異。
めちゃキモだからパパッと倒しちゃいたい。
『いくよ-不変鋼-!抜刀!』
不変鋼打刀。
ボクがずっと昔にお母さんから貰った刀だ。
きちんとした銘はないけれど、その刃を作った素材からとって不変鋼と呼んでいる。
噛みつこうとこちらへ飛びかかる相手をキラリと見つめながら少し黄色みを帯びた刃を煌めかせ、刀を上段に構える。
狙うは一振り一殺。
『一刀入魂!!チィエエエエストオオオオオッッッ!!!!』
刃へエーテルを纏い振り下ろす。
エーテルによって強化された斬撃はその刀身でとどく本来の距離をゆうに超えて、ダルメルの首より長く伸び一つ目の妖異の身体を真っ二つに切り裂いた。
荒々しくも洗練されたその一撃は、共に戦うアール達の闇を思わせる攻撃とは対照的に火を連想させる……気がする。
我ながらそんな気分なんだ、ボクかっこいい。
『どうだい!相変わらず凄いだろ!』
『ああ、相変わらずすごいよ』
振り返れば数十人いた奴らをもうアールは倒したみたいだ。
やっぱり凄いなぁなんて思う。
ちょっと悔しいけど、褒めてもらえたからまあ良いや!
『前ヨリハ強ク、ナッタナ。俺様タチノホウガ早イケド』
『にゃんだとう!いつも一言も二言も多いんだよお化けベルート!表でろこんにゃろー!』
『元カラ外ニ居ルンダカラ、表ニ出テルダロウガ、バカマコト』
『ガルルルルルルルルッッ!!』
『グルルルルルルルルッッ!!』
額を合わせて威嚇し合う。
いつか絶対ギャフンと言わせてやるなんて思う。
見返してやるぞー!
『まったくうるさいぞ……さっさと、帰ろうぜマコベル』
『略すな!』『略スナ!』
まあ、見返してやるのはまたいつか。
今はとりあえず帰ってゆっくりお肉が食べたい。
ウルダハの町は遠いけどきっと直ぐに着く。
コイツらと行くならきっと楽しいし、あっという間に着いちゃうから。
登場人物
マコト:本人はそう名乗っているが、元は母から伝え聞いたという異国の侍の名を真似たもの。 |
アール:鎌をずっと担いでいて肩こりが最近ひどいリーパー。 |
ベルート:アールの契約したアヴァター。喋れるが普段は人に見えないらしい。 |
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